「日の名残り」 カズオ・イシグロ 著 を読んで
- 4月1日
- 読了時間: 1分
更新日:4月27日
この本を読んで感じたのは、
人は正しく生きればそれで良いのか、ということでした。
主人公のスティーブンスは、執事という仕事にまっすぐな人です。
品格とは何か。
プロとはどうあるべきか。
それを生涯かけた人でもあります。
この物語が深いのは、
「まっすぐに生きすぎたのは失敗だった」
という単純な反省話ではないところです。
彼は、自分が何を失ったのかをわかっています。
大切な人との時間。
自分の感情。
人としての温かさ。
それでも、それを大げさに悔やむのではなく、
静かに受け止めているのです。
私はそこに、人の成熟を感じました。
まっすぐに生きることには代償があります。
けれど、まっすぐに生きた人にしか見えない景色もある。
この小説は、そのことを静かに教えてくれます。
批判でもなく、賛美でもない。
ただ、人間というものを深く見つめた物語でした。

