映画『アーカイブ』を見て
- 8月19日
- 読了時間: 3分
とても良かったので 少し語ります。 最初は、失った者をAIで蘇らせようとする物語だと思っていました。 「嫉妬」ということをこの映画は 伝えたいのだと思っていました。 自分にとって大切な人が 何かとつながっていく。 そこには、言ってみれば「自分が置き換えられてしまうのではないか」という不安があります。 ところが、見ているうちに、 これは嫉妬の話し?と思うように なります。 私が強く感じたのは、 失ったものを取り戻そうとするとき、 そこから新しい苦しみが 生まれることがある ということです。 大切なものを失えば、当然取り戻したくなります。 「あの頃に戻りたい」 「あの人を取り戻したい」 「あの関係を元に戻したい」 そう思うこと自体は、とても自然なこと ですが、どうしても取り戻そうとすると、そこに執着が生まれます。 すると、 不安になったり、 嫉妬したり、 怒ったり、 失望したり、 さらに失うことを怖れたりする。 もともとの苦しみは「失ったこと」なのに、いつの間にか、いくつもの新しい苦しみが生まれてくる。 この映画は見ていくと 大きく見え方が変わります。 人はもしかすると、厳しすぎることが起きた時に、そのものを見るのではなく、自分が耐えられる形に物語を作り替えることがあるのかもしれません。 この映画はAIやロボットの話であるというより、かなり人間的な物語です。 私たちも現実の中で、 「あの時こうしていれば」 「もう一度やり直せたら」 「以前のように戻れたら」 と考えることがあります。 起きたことを変えることはできなく 失ったものは、失ったものです。 だからといって、無理に忘れる 必要もないと思います。 そもそもできないかもしれない。 けれど大切なのは、 失ったものを消すということでもなく、取り戻そうとし続けることでもなく、失ったものを自分の中に持ちながら、それでも今を生きていくこと なのかもしれません。 これは、人の孤独にも少し似ています。 どれだけ大切な人でも、その人のすべてを自分のものにすることはできません。 相手には相手の世界があり、私は私の世界を生きている。 距離があるから、嫉妬も不安も生まれる。 その孤独をなくそうとして相手をなんとかしようとすると、苦しみは増えていく。 相手は自分とは別の存在であるという現実を受け入れながら、それでも関わり続けること なのかもしれません。 この映画。見ながら、 嫉妬とは何か。 執着とは何か。 喪失を受け入れるとは何か。 そんなことを考えました。 そして最後には、 変えられない現実を変えようとするより、現実を引き受けながら、どう生きていくか。 そういうテーマなのかな、 と私は思いました。

