

密やかな結晶 小川洋子著を、読んで
この物語では、ある島で、少しずつ何かが失われていきます。 物が消える。 記憶が消える。 それにまつわる感情も、だんだん薄くなっていく。 読みながら、不思議と私は「忘れること」を怖いとは思わなかった。 忘れることも必要なのだと思ったからです。 人は、大切なものを失っても、その痛みをずっと同じ強さで抱え続けることはできません。 時間が経つ。 少し薄れる。 少し慣れる。 そして、また今日を生きていく。 それは冷たいことではなく、心が自分を守るための働きなのだと思います。 忘れることで、心が安らかになることがある。 忘れることで、自分を許せることもある。 ただ、この物語には、失われたものを覚えている人も出てきます。 多くの人が忘れていく中で、「それは確かにあった」と覚えている人がいる。 私は、そこに大きな意味を感じました。 忘れることは、痛みをやわらげてくれる。 けれど、覚えていることは、自分の人生をつなぎとめてくれる。 大切なのは、過去のすべてを覚えていることではないのだと思います。 でも、自分が本気で向き合ったこと。 誰かを
5月18日
NHKスペシャルバイオリニスト HIMARIを見て
完全にマスターすると、 自分なりの表現ができなくなる。 正確には覚えていませんが、このようなことをHIMARIの先生が言っていました。 これは、言い換えると、正しく弾く能力が高すぎると、間違えないこと、が目的になってしまう。 ということであるようにも思います。 また、番組中何度か 神童が大人になる難しさ、 のような表現が出ていました。 これは、言い換えると、神童は、幼いころから、できること、で認められる、 でも、大人の音楽家は、 何を表現する人なのか で問われる。 自分なりに表現すると言う事は 勇気がいることです。 必ずと言って良いほど よく思わない人がいる。 これを乗り越えられるかどうかと言うことも言っているのではないかと思います。 もしくは 何歳なのにすごい、ではなく、 あなたの音楽には何があるのか、になる。 と言う事でもあります。 なるほど、と唸った番組でした。
5月12日
ポルノグラフィティのサウダージが名曲すぎたので、人はなぜ過去を手放せないのか考えてみた
人は、絆を求める生き物だと思います。 心理学者のバウマイスターとリアリーは、 人には「安定した対人関係を求める基本的な欲求」があると述べています。 人は一人で生きているわけではなく、 誰かとつながっている感覚に支えられている、 ということにもなります。 私は、絆には二つあると思っています。 一つは、他人との絆です。 家族、友人、仲間、大切な人。 誰かとつながっているという感覚は、 人を支えてくれる。 これは、多くの人が実感として理解できることだと思います。 そしてもう一つは、 「自分との絆」です。 自分が本気で生きた時間。 誰かを大切に思った自分。 心が大きく動いていた自分。 そういう自分とのつながりを、 人は簡単には切れないのではないかと思うのです。 『サウダージ』は、 失った相手を忘れられない歌として聴くことができます。 ただ、私はそれだけではないように感じます。 本当に忘れられないのは、 相手そのものだけではない。 その相手に向かっていた時の自分。 その時間の中で、 たしかに本気で生きていた自分。 心が強く動い
5月11日
