

「ストーナー」ジョン・ウィリアムズを読んで
主人公のウィリアム・ストーナーは、まっすぐな人。 だからなのか、大きな成功を収めるわけでもなく、人生が劇的に報われるわけでもない。 ストーナーは、文学と出会い、人と出会い、自分の中にあるものに気がついていきます。 自分が本当に大切だと思うものに出会い、それを最後まで手放さなかった人です。 ただ、同時に思いました。 この人に、良き理解者がいたらよかったのに、と。 彼のまっすぐさをわかってくれる人。 彼の感性の豊かさを、きちんと見てくれる人。 そして、こう伝えてくれる人です。 「あなたは間違っていない。ただ、そのまっすぐさを守る方法も覚えた方がいい」 人は、正しければうまくいくわけではありません。 誠実であれば、必ず報われるわけでもありません。 現実の人間関係には、誤解もあります。 嫉妬もあります。 支配もあります。 弱さからくる攻撃もあります。 だからこそ、まっすぐな人ほど、自分を守る言葉や、自分を支えてくれる存在が必要なのだと思います。 ストーナーは、うまく生きた人ではなかったかもしれません。 けれど、まっすぐ生きた人ではあっ
5月4日


「舟を編む」三浦しをん著 を読んで
私が特に良いなと思ったのは、主人公の馬締が、なぜ意中の女性と結ばれたのか、という点でした。 私は、それは馬締が「うまく話せる人」だったからではないと思っています。 そうではなく、言葉を通して、人と深くつながりたいと本気で願っていた人だから。 つい、会話が上手な人、気の利いたことを言える人が人とうまくやれる、と思いがち。 ところが、本当に人の心を動かすのは、言葉の上手さよりも、この人は言葉を大事にしている、この人は私との間にあるものを大切に扱ってくれる、という感覚かもしれません。 例の一つとしては、孤独であることを分かり合える。ということ。 私は孤独、あなたも孤独、それ、わかるなぁ。そういう感覚。 馬締には、不器用さはあります。 けれどその不器用さの奥に、言葉を軽く扱わない誠実さがある。 相手に伝わるように考え、相手の言葉もきちんと受け取ろうとする。 私は、そこに人としての深さを感じました。 結局、人と人が結ばれる時に大事なのは、話術ではなく、何を大切にして言葉を使っているか、なのだと思います。 言葉を飾りとして使うのではない、言葉巧み
4月27日
判断力を高めるための技術
「あの人、なかなか自分で判断できなくて」 こういう声を、よく聞きます。 判断力は生まれつきだけで決まるものでは ないと考えています。 ちょっとしたスキルを使うと 育てていくことができます。 心理学者のデシとライアンが提唱した 「自己決定理論」では、 人が「指示されて動く」状態から 「自分で納得して動く」状態へ向かうほど、 行動の質や学びの質が高まりやすいことが わかっています。 その鍵の一つが、「自律性」です。 自分の意思で考え、 自分の言葉で語り、 自分の判断で動く、 ということになります。 ここで社内でよく聞く言葉を 並べてみます。 「たぶん、大丈夫だと思います」 「みんなそう言ってました」 これらは主語が自分の外にあります。 だから責任も判断も、宙に浮いたままになりやすい。 一方で、 「私はこう判断しました」 「私はここまで確認しました」 こう言えるようになると、 判断が「自分のもの」になっていきます。 私がやっていることは、シンプルです。 相手が曖昧な言葉を使ったとき、 そこをトレーニングのチャンスと考え 「
4月20日
