

『私とは何か』を読んで 平野啓一郎 著
良い本でした。 一人の人間を、ただの一つとして見なくてもよい、という話です。 私たちには、職場での自分、家庭での自分、趣味を楽しんでいるときの自分など、関わる人や場所で、それぞれ少しずつ違う自分があるのでは、と思います。 それぞれの自分が、すべて自分なのでは?
そして、その中に自分で好きだと思えるところがあるなら、それでよいのではないか。 考えてみれば、私たちは「一貫している人は信用できる」という感覚を持つことがあります。 もちろん、言うことや態度がその都度変わる人に、「?」感じることがあると思います。 どんな人に対しても、どんな場面でも、まったく同じ自分でいることが、本当に誠実なのか? 相手との関係が違えば、そこで表れる自分も違う。
それは一貫性がないということではなく、人がいくつもの関係の中で生きているということなのでは? の様な視点が当たり前かも知れないが改めて考えると面白い。 一人の人間を、一つの性格や一つの評価だけで決めつけない。 自分に対しても、他人に対しても、もう少し多面的に見ることができる。 『私とは何か』は、そのような新しい
8月3日


『世界一おもしろい現代ヒップホップ入門』を読んで EJ 著
この本を読んで、ラップやヒップホップへの見方が変わりました。 とても良い内容だったので、他のものの見方も、少し変わったように思います。 少し大げさに言えば、人にも、文化にも、流行にも、それぞれ背景があるのではないか、ということがわかりました。 表面だけを見れば、なぜこれほど多くの人が惹かれるのか、なぜこのような表現が生まれたのか、理解できないことがあります。 背景にある時代や社会、人々の思いを知ると、それまで見えていなかったものが見えてくる様な気がします。 一つのことを並々ならぬ努力で突き詰めようとする人たちのお陰で、流行などができているのだと。 何かに深く惹かれ、時間をかけ、表現を磨き続ける。その姿が、新しい文化をつくっていくのだと思いました。 逆に、どれほど勢いのあった文化も、さまざまな事情によって変化していき、衰退していく。 私はもともと、流行を追うことは得意ではありません。 けれども、流行そのものを追わなくても、その背景を知ることは面白いと思いました。 なぜ生まれ、なぜ広がり、なぜ変わっていったのか。 それを知ること
7月29日


『ファイア・ドーム』を読んで 辻村深月 著
まず思ったのは 人と人との間に生まれる、ごく小さな違和感の書き方がうまいということです。 ちょっとした仕草や、何気なく口から出た言葉。 その場では聞き流してしまいそうなことなのに、なぜか心のどこかに引っかかる。 表情や声の調子、言葉を選ぶまでのわずかな間、そこに含まれるためらいや無関心まで人は日頃感じ取っていますり そうした言葉になる前の感覚を、丁寧にすくい上げています。 また、人の傷つきやすさも上手に表現されています。 人が深く傷つくのは、必ずしも誰かから強い悪意を向けられたときだけではありません。 本人にとっては、かなりの痛みでも、周囲の人には、その重さが見えないことがよくあります。 悪気ない一言や、軽い気持ちで言った噂が、誰かを長い間苦しめることもあります。 そして厄介なのは、傷つけた側には、傷つけたという自覚がないこと。 私たちは自分に悪意がなければ、相手を傷つけていないと思いがちなところもあるのではないでしょうか。 悪意がなかったことと、相手が傷つかなかったことは、同じではないと私は考えます。 読んでいると、人の痛み
7月28日
